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【バックナンバープレイバックVol.2】

By inoue, 2019-04-03

2012年5月24日に発売されたBITTER Vol.02。インパクトのある表紙を飾ってくれたのは、氣志團の綾小路翔。

後年のファッション特化以降のBITTER読者には想像もできないだろうが、初期のBITTERはアウトロー的な魅力を追求していたため、そういった方向性にマッチしていて、しかもBITTERのエッジィなコンセプトを表現できる稀有な存在が翔やんだったのだ。

BITTERという気鋭の雑誌と、「房総の狂犬」というキャッチコピーを掲げる氣志團・綾小路翔というアイコンが、見事にマッチした瞬間でもあった。

さて、当時ストリートで圧倒的な人気を博していたのは、スペイン生まれのアパレルブランド「ZARA」。

あまりの人気ぶりに街では『ZARA男』なる造語も生まれるほどで、その人気はもはやブームや流行という名で括れないほどの浸透具合。

そんなZARAによって確立された「アーバン×アウトロー」な流れを組むスタイルは、今なおストリートで息づいている。

そしてこの号でスポット的にZARAの巻頭特集を組んだところ、大きな反響を呼ぶことに。アメカジに対するヨーロピアン・モードとでも言おうか、「キレイ目ファッション」が当時の渋谷で溢れかえることになるキッカケともなった。

 

 

ストールやミラーサングラス、ひざ上ショーツなど、ビタ男スタイルの基礎となるアイテムが人気を集めたのもこの頃。

シーズン的にも5月後半という、まさに初夏目前という時季的な要因もあり、これら開放的なイメージを演出してくれるアイテムは爆発的な支持を集めることとなる。

かつてのギャル男ファッションではほぼ皆無だった被り物を取り入れられるようになったのも画期的といえよう。

かつてはB系のキャップ、さらに夏限定でストローハットほどしか目にしなかった被り物は、自己主張を抑えたニット帽、フォーマルチックなハットなど、スタイルに合わせた被り物アイテムを取り入れたスタンスが確立していく。

 

 

当時のストリートスナップを改めて振り返って見ると、前号に比べてカラーアイテムが増えてきていることにお気づきだろうか?

根底にあったSOUL JAPAN的な、いわばゴリゴリの不良要素は鳴りを潜め、より色気やヌケ感を重視したスタイルに移行している段階ということが見て取れる。

これは従来の、よくも悪くも分かりやすいスタイルで満足できなくなった層から、より多角的なファッションへの支持を得たことによるものだろう。

もちろん、装いがスタイリッシュになっても、肌は日サロの黒肌&ヒゲが不変の美意識であることは言うまでもない。

 

 

今も通じる海外セレブたちのスタイリングを参考にする手法も、この頃から若年層のメンズに浸透していった印象だ。

まるで十二単のように様々なアイテムをレイヤードさせたかつての多層的な着こなしから、セレブの代名詞である「シンプルにアイテムをさらりと着こなす」というセンスが必須のスタイルは、同じアイテムだけ揃えたところでマネできない。

それこそセレブのように、程よく鍛えられた肉体が必須であったため、この頃から本格的に筋トレブームが始まったと思われる。

 

 

自身のボディを鍛えるという姿勢は、かつての不良系スタイルの流れを組んだビタ男たちにとって、至極受け入れやすい発想だったと言える。

外見的にも、そして日常生活的にも決して健康的とはいえない彼らだが、セレブ系ファッションをカッコよく着こなすために筋トレするというそのスタンスは、とても健全だといえるのではないだろうか。

 

 

2号目が発売され、よりBITTERという雑誌の進むべき方針が見えてきたこの時期。

クラブイベントだけでなく、野外フェスなど「夏」を感じさせるイベントが間近に迫る中、ビタ男たちのファッションは、より洗練されていく――。

次回、そういった過程にも触れていきたい。

 

井上 晋太郎