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【バックナンバープレイバックVol.3】

By inoue, 2019-04-10

ビター誕生から4カ月。初めての夏を迎えた2012年、すでに初夏のストリートでは「ビタ男」なるキーワードが定着しつつあった。

黒肌にヒゲ、そして甘めのスタイルという出で立ちの男たちが、大都市圏で、そしてナイトシーンで増殖していくのを、当時のスタッフは肌で感じたという。

そんな流行の真っ只中にあったビターは、そのタイミングでストリートスナップ特集を組むことに。

トレンドの中心地・東京に加え、西の流行発信地・大阪、そしてかつての「お兄系」発祥の地でありファッションに一家言を持つ名古屋。

その3都市において開催されたスナップの結果、すでにビター的なスタイルが完全に定着していることのが実証されたのだ。

もちろん、各都市ごとに人気のブランドや柄、配色など細部のディテールで差異は見られたが、その根源にある「カッコよさ」と「艶っぽさ」は3都市共通であった。

 

 

724日発売ということもあり、撮影時期は初夏真っ盛り。そんなシーズン的なタイミングもあってか、撮影時には「リゾート感を押し出した艶っぽいスタイル」全盛という印象に。

トップスには鮮やかな柄が目を惹くリゾートシャツ、ボトムスにド派手な原色が躍るカラーショーツ、そして足元は素足にエスパドリーユといった、いわば若年層向けの「イタリアオヤジ」のようなスタイリングがストリートを席巻した。

この号では、特にピンクなどのビビッドなカラーアイテムと無地アイテムとの組み合わせが好まれていた印象。

また、シンプルになりがちな夏コーデの首まわり対策にストールを取り入れた着こなしも多かった。

 

 

これらのスタイルがここまで短期間でブレイクした要因は何か――。

例えば大人っぽく見られたいという、年頃の子たちの「背伸びしたい」という感覚に上手くハマったという面もあるだろう。

それに加え、この時期から日本国内で多種多様な大型野外フェスが開催されるようになったことも大きい。

これは後に「フェス系ファッション」と呼ばれることになる一大スタイルのフォーマットが完成された、「その時歴史が動いた」瞬間であったのだ。

 

 

この号ではスナップ特集だけでなく、もちろんファッション企画も組まれたが、その中身はとにかくリゾート推し。

上下白のリゾートスタイルで決めたARATAの扉絵が印象的な黒のリゾート、白のリゾートでは、アーバンアウトロー夏の競演と銘打っていて、編集サイドの力の入れようが伺える。

 

 

ビター初期のファッションリーダーとして、読者に絶大な影響を与えたRHOKOH。彼ら仲良しコンビが自身の私服でワンウィークコーデを組んだ「真夏のセクシーリゾートコーデ1週間!!」では、ストリート仕様からフェス向けファッションまで、センス溢れる多彩な着こなしを提案してくれた。

 

 

当号で見開き広告を飾ってくれたのは、今はなきブランド「RICH HEARTS」。

リゾート感満載のルックスで、誌面との関連性もバッチリだったのは、偶然といえども「持っている」と言うこと。モデルを務めてくれたのは、吉永啓之輔とARATAの2名。

こう考えると、ARATAがいかに息の長いモデルであり、長期に渡ってビターブランドの確立に貢献してくれたことがわかってもらえるはず。

 

 

ちなみにこの号で表紙を飾ってくれたのは、当時まだ現役のプロボクサーであった亀田興毅氏。

日本人初となる3階級制覇を果たし、WBA世界バンタム級チャンピオンとしてこの年の4月に4度目の防衛に成功していた氏は、この頃すでに王者の貫禄十分。

一番尖っていた頃の面影は薄れていたものの、火傷しそうな熱いハートと男っぽい雰囲気は健在であった。

ビターが信条としていた「男らしさ」を体現したカバーと言えるだろう。

 

井上 晋太郎