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【バックナンバープレイバックVol.4】

By inoue, 2019-04-17

隔月ペースながら、コンスタントに発行されていたビターは、2012年秋に4号目を迎える。

販売部数は回を重ねるごとに増えていき、まさに月刊化前夜といった盛り上がりをみせていたビター。

新しいトレンドに携わっているという実感からか編集部内の雰囲気も良好で、そんな雑誌の勢いを反映してか、巷でもジャケットやシャツに身を包んだ色黒ヒゲ男子が溢れ、徐々に、しかし確実にストリートでの市民権を獲得していった。

それに反比例するように、オラオラ系は徐々に廃れ始めていく。

Vol.4が発売されたこの時期は、ストリートのトレンドを担ってきたスタイルの変遷真っ只中であった。

 

9月24日と発売時期が初秋ということもあり、Vol.4は「シャツ推し」の企画が目を惹く内容。

世界的に猛暑であった2012年は、9月に入っても北日本で観測史上最高気温を記録するなど、暑さが和らぐ気配すらなかったが、ストリートでは秋を先取りした着こなしが浸透していた。

そんな初秋スタイリングの核を担っていたのが「シャツ」。

爽やかにも艶やかにも着られるシャツは、ビター初期のマストアイテムと言っても過言ではなく、誰しもが複数枚所有して使い分けを楽しんでいた。

セレブカジュアルなスタイリングにマストだったのがチェックシャツ。サーフテイスト強めなアイテムは、日焼けした肌とも好相性で、爽やかな雰囲気を形成するのにうってつけだった。

もう1つ忘れてはならないのが総柄シャツ。アニマル柄やドット、ペイズリーなど、インパクトのあるパターンが男の色気を加速させる総柄シャツは、今井諒はじめ当時の人気モデルがイチオシのカテゴリーであり、読者にも絶大な影響を与える。

 

 

 

シャツ以外にも、この時季ならではの着こなしが目立つ。

「ジャケット×ショーツ」という、お洒落とハズシを加えたスタイルも人気を博しており、ストスナでも多く見受けられたのが興味深い。

襟付きからTシャツまで、幅広いインナーにも対応するため、気軽に試しやすいスタイリングだったことも、このジャケット×ショーツが流行った理由の1つ。

ストールで首まわりにアクセントを加えるなど、センスの良い+αな装いに昇華させた例も多く、この時代を代表する着こなしの1つといえるだろう。

 

 

近年のカジュアルなトレンドに比べ、2012年下半期はドレッシーなスタイリングが人気だった。

当時のストリートスナップ『TOKYO REAL SHOOTING』を振り返ってみても分かるが、ヘアスタイルや肌の焼き具合で重視するのが、「盛れるか否か」という点。

いかに盛れるかというのが、当時のスタンダードだったのだ。

ナチュラル志向が強い今と見比べると、やはり多少のギャップを感じてしまうのはやむをえないだろう。

 

 

別ページでは、セレブファッションを軸とした「スポーツカジュアル」な着こなしも紹介。

海外セレブたちのプライベートファッションを見せながら、ARATAをモデルとしたワンランク上のカジュアルスタイルを提案している。

季節感にマッチしつつ、幅広い読者層に刺さる新しいスタイルを絶えず模索しようとする姿勢は、成功に胡坐をかかないために欠かせないスタンスである。

 

 

この号の表紙に起用されたのは、格闘家でありながらスタイリッシュで艶っぽいファッションセンスで人気だった秋山成勲氏。

氏は当時「男気じゃんけん」をキッカケにビター的男子の憧れとなっており、同時にファッションアイコンとしても認知されつつあった時期であった。

「強くてオシャレ――」

ビタ男たちにとってファッションの目標となった秋山氏の表紙登場により、ビターはその目指すべきファッション性とヴィジョンを明確にしていく。

それによって、さらに多くの読者から支持を獲得することになっていったのだ。

 

 

井上 晋太郎