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【バックナンバープレイバックVol.21】

By inoue, 2019-08-14

今回取り上げるのは2015年12月号。

秋冬物が誌面を占める10月下旬売りということもあり、誌面ではとことん大人の色気推しなのが特徴である。

重厚な風合いの部屋でくつろぐ秋山兄貴も、カーキ色のゆったりとしたニットを着用するなど、まさに大人の風格が色濃く香り立つ表紙に仕上がっている。

オレンジのロゴも、冬の訪れを現しているかのようで、季節感バッチリだ。

巻頭企画『「大人の色気」足りてるか?』はもちろん、それ以外のファッション企画に至るまで、通常号よりもシックで艶やかな提案が徹底しているのも特色の1つだろう。

 

 

 

 

錆びた門扉をバックに、アンニュイな表情を魅せるARATAが印象的な巻頭企画『「大人の色気」足りてるか?』。

読者を煽るかのような挑発的なタイトルで、アダルト&セクシーな大人の“攻め”のファッションを取り上げている。

タイトルにあるように、当時からビターは、モテる男に必須な要素の第1位に「大人の色気」を掲げていた。

ただ大人っぽいだけではない、遊び慣れした男だからこそ纏える「色気」、それこそがビタ男の条件であったのだ。

 

 

 

 

唯一無二の誌面作りに定評のある名物フリーライター、KRAY Gが手掛けたファッション企画が、ニット特集の『キメキメもヌケ感も!冬は「ニット」があればイイ』である。

扉からドラマ性の強いフォトジェニックな構図でグイグイ攻めて、読者を鷲掴みにする構成はお見事。

ただ惜しむらくは、ニット企画なのに扉でMASAHIROが着用しているニットが目立たないという点であろうか?

MASAHIROよりも、背後の美女のビビッドなワンピに目がいってしまうのは、これまた男の性であろう(笑)。

 

 

 

 

さて、2015年を振り返ってもると、この年特に感じたのが、ライダース、MA-1などショート丈アウターの人気の高さである。

もちろん、チェスターコートなどロング丈アウターの人気も相変わらずではあったが、新しいトレンドとしてジワジワとストリートに浸透していたのはショート丈アウターであり、編集部的にも注目していたカテゴリーの1つだった。

ライダースとMA-1、どちらも無骨なイメージが強いアウターであるが、そこはファッショニスタ揃いのビターな男たち。

合わせ方はとてもセクシーで、かつて硬派なアイテムの代名詞であったライダースやMA-1を、男の色気に必須なアイテムに昇華させていったのは、さすがと言えるだろう。

誌面では、それら両アイテムをアーバンに、タウンユーズに着こなした実例が満載。

あくまで「色気」を忘れない、それがビタースタイルなのだ。

 

 

 

 

 

 

また、この年の特徴として、夏以降カジュアル色が加速したということも挙げられよう。

しかし、秋冬の季節が近づくごとに、やはり男たちの好みはセクシー志向へと原点回帰。

表紙からアダルトテイスト全開だったのは、流行のブレを防ぎたいという編集部の思惑が働いていた結果でもあったのだ。

だが、そのスタンスは好結果をもたらすことになる。

ストリートスナップを見返しても、カラーリングにはまだカジュアルな風合いが残っているものの、ツバ広ハットやアイウェアなど、大人っぽさを発揮する小物使いが目立つなど、この時期のシーンは確実にアダルト路線へと舵を切っていた。

もちろん、日焼け&ヒゲ率の高さも不変。

つまり、細かい点でトレンドのブレはあるものの、ビタ男たちの根底にある「カッコイイ男像」にブレはなかったのだ。

 

 

 

 

ビタ男というカテゴリーを確立させたビター。

集合離散を繰り返すかのように、細分化しつつあるストリートのトレンドを、ビター系という括りでまとめあげることができたのは、ひとえに時代の趨勢であり、また誌面で打ち出してきたコンセプトが全国の読者に支持されたことに他ならない証であろう。

 

 

井上 晋太郎